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E353系

先代のE351系の老朽置き換え用として製造されたのがE353系です。またE257系を他線区に転出するために、中央線特急は全列車がこのE353系に統一される事になります。車体傾斜方式は振り子式から空気ばね式に変更されました。傾斜角度は少なくなったものの曲線通過速度はそのままとなっています。


設計イメージ図の段階ではこんなのが実現するものかと思っていたのですが、いざ完成してみるとここまで格好良く仕上がるとは思ってもいませんでした。近年のJR東日本の特急車は非常にクオリティが高いと感じます。外観はE259系に似ていますが、貫通扉の両脇に縦に並んだ前照灯が斬新に感じます。側面上部から前面下部に流れるように配されている紫の帯色が、あずさ号としての伝統を感じさせます。汎用性を持たせるためか普段連結を行わない側の先頭車も貫通構造になっています。


車内はLED照明の採用で非常に明るく開放感を感じます。従来車では車体を大きく傾ける関係で、車体上方を絞った形状にして建築限界内に収める必要がありました。しかし本形式では傾斜角が浅くなりその必要が無くなったため、通常の車体形状になり車内空間にゆとりを感じるようになりました。床面は黒とグレー、座席はグレーと青で構成されていて爽やかな印象を受けます。


デッキ付近の仕切り戸はガラス張りで、不用意な開閉を防ぐタッチセンサー式になっています。また通路上部にはフルカラーLED表示器が設けられています。


座席のピッチは960mmとやや狭いのは残念ですが、座席自体は可動枕や全席コンセントの設置などで大きく進化しました。座り心地も固すぎずに丁度良い具合で、長距離の乗車でも快適に過ごす事が出来ます。


対してグリーン車は通路の床と天井が赤色で座席が黒色という派手な内装になっています。赤色が目立ちすぎて正直落ち着きません。なぜあずさ伝統の紫色にしなかったのか気になります。ちなみにグリーン車は車両の半分近くを車掌室や車販準備室などが占めているので、客室自体は割とコンパクトです。もはや惰性でグリーン車を設定しているように感じ、これならいっそ廃止してオール普通車にしても良かったかもしれません。


座席は稼働枕やコンセントなど普通車とほぼ同様の装備になっています。シートピッチが広めな事、前席下部にフットレストが設けられている事、座席間の肘掛けが大きめになっている事が相違点でしょうか。正直この程度の差しかないのでは、グリーン車を積極的に選択するのは厳しいのではないでしょうか?


デッキ付近は黒色の壁でシックな雰囲気になっています。床面が明るい色なので暗過ぎずに丁度良い明るさに仕上がっています。通路の角の部分は鏡になっていますが、出会い頭で衝突するのを回避するためなのか、空間に広がりを感じさせるためなのかは分かりません。いずれにしても良いデザインだなと素直に感じます。

E353系は高速バスとの競争を強いられている中央本線において、更なる快適性向上のために非常に良く考えられた車両であると感じます。一方で普通車の水準が向上するのに対してグリーン車の優位性が薄れてきている気がします。上述したようにグリーン車を廃止して普通車に統一という選択もアリなのかもしれません。今後は富士急行線への直通特急列車にも充当されるそうで、中央本線系統の特急列車に大きな変革が訪れようとしています。その中心的存在として、これからも活躍して欲しいと思います。

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