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はまかいじ号復活構想

かつて横浜から横浜線・中央本線を経由して松本を結んでいた「はまかいじ」号ですが、2019年をもって設定が消滅し事実上の廃止となりました。理由としては発着駅である横浜駅のホームドア設置による乗降不可や、使用車両の老朽化などが考えられます。列車の発着駅をホームドアの設置されていない新横浜駅発着に変更する可能性など、はまかいじ号運行継続のための様々な方策が検討されたという噂もあります。横浜や町田などのターミナル駅から直通で中央本線方面へ移動が出来て大変便利で、利用客自体はそこそこ居たので休止はとても残念でした。そこで今回ははまかいじ号をどうすれば復活出来るのか妄想してみました。
(2020年12月11日執筆)


はまかいじ号復活にあたっての問題点

●横浜線を経由する事が不可能
横浜駅3・4番線にはホームドアが設置されたので、横浜駅を発着駅とするには他のホームから発着させる必要があります。ところが配線の都合で横浜線を経由する列車は横浜駅の3・4番線以外のホームには発着出来ません。横浜~東神奈川間に東海道線と京浜東北線を結ぶ渡り線を設置すれば解決しますが、信号通信関係を含めて大規模な工事が必要で現実的ではありません。そのため横浜線経由で列車を設定する事はほぼ不可能となります。

●東海道貨物線と武蔵野線を経由する事のメリットの少なさ
横浜線経由の代わりに東海道線の鶴見駅付近手前で東海道貨物線に入り、新鶴見信号場~(武蔵野線)~府中本町~(南武線)~立川と至るルートが考えられます。横浜駅の東海道線ホームを発着出来るようになりますが、鶴見駅手前で下り線路との交差支障が発生するほか、貨物線を経由するために横浜~立川間で停車駅を設けられないという問題が発生します。横浜線経由の場合は町田駅を経由し、湘南新宿ライン経由の場合は武蔵小杉・渋谷・新宿を経由するので、他のルートに比べて集客面で問題があると思われます。

●湘南新宿ラインルートの列車密度の高さ
最もシンプルなルートは湘南新宿ラインのルートで新宿まで向かい、新宿からは他の中央本線特急と同様のルートで運行するというものです。町田は経由できませんが、武蔵小杉や渋谷・新宿を経由できるので集客面の問題は少ないと考えられます。しかし横浜~旧蛇窪信号場間は横須賀線の列車と線路を共有し、武蔵小杉からはJR相鉄直通線の列車が合流し、更に大崎駅からはりんかい線からの列車も合流するので列車密度が高くてダイヤ設定が極めて難しいという問題もあります。


特急料金計算の問題

横浜~松本間は全区間が大都市近郊区間に入っているので、運賃に関しては運行経路が変わっても最短区間で計算するので問題はありません。特急料金に関しては基本的に実乗車経路で計算するので、東海道貨物線・武蔵野線ルートで運行する場合は旅客列車が運行していないルートの為に料金の計算が困難です。湘南新宿ラインルートの場合は横浜線経由に比べて遠回りとなるので、横浜以南からの利用客にとっては割高になってしまいます。そこで料金計算に特例を設ける事で解決できるかと思われます。今回は武蔵小杉からの利用客にも配慮して考えてみました。

例:横浜以遠(大船方面)~立川以遠(松本方面)の各駅相互間を途中下車しないで直通乗車する場合は、横浜線(新横浜、町田)経由で計算します。また、武蔵小杉~立川以遠(松本方面)の各駅相互間を途中下車しないで直通乗車する場合は、南武線(登戸、分倍河原)経由で計算します。

規則はやや複雑になりますが、遠回りによる料金面での不利益は回避できるかと思います。


はまかいじ号復活予想ダイヤ(松本方面)

新宿発の中央本線特急を横浜発に延長した場合のダイヤを予想してみました。ちなみに旧はまかいじ号の時代の停車駅と時刻を調べてみました。

下り: 横浜7:51発→八王子8:42発→甲府9:59発→松本11:22着
停車駅: 新横浜、町田、橋本、八王子、大月、勝沼ぶどう郷、塩山、山梨市、石和温泉、甲府、韮崎、小淵沢、茅野、上諏訪、下諏訪、岡谷、塩尻

●あずさ5号:大船7:02発→戸塚7:08発→横浜7:23発→武蔵小杉7:35発→渋谷7:52発→新宿7:57着
(新宿8:00発→八王子8:33発→甲府9:29発→松本10:37着→南小谷11:56着)

旧はまかいじ号と大差ない所要時間で利便性は高そうに感じます。なお横浜駅から横浜線経由でこの列車に追い付くには7:18に出発する必要があります。ただ河口湖方面への接続駅である大月駅が通過という点が気になります。大糸線直通なので松本発車を遅らせる訳にもいかず、大月停車を実現させるには既存の停車駅を削減する必要があるでしょう。


●あずさ73号:大船7:02発→戸塚7:08発→横浜7:23発→武蔵小杉7:35発→渋谷7:52発→新宿7:57着
(新宿8:02発→八王子8:38発→甲府9:43発→松本11:20着)

既存列車の合間を通したので大船~新宿間は上記列車と同じになってしまいました。こちらは大月に停車して富士急線の普通列車にも接続します。しかし臨時列車故に所要時間が非常に長くて、八王子駅を5分前に発車するあずさ5号との差は松本駅到着時には54分にも開いてしまいます。しかも横浜駅を5分早い7:18に出発すればあずさ5号に接続できます。大月駅に停車する以外にはほとんどメリットの無いダイヤになってしまいます。


●あずさ75号:(新宿8:14発→八王子8:48発→甲府10:00発→松本11:29着)
新宿以南設定不可及び大月での富士急線接続列車無し

73号と同じく臨時列車の75号ですが、新宿以南で列車を差し込む余地が見つかりませんでした。ちなみに73号より停車駅が3駅も多いのに所要時間は3分早いです。73号がかなりの鈍足列車である事が伺えます。


●かいじ・富士回遊7号:大船7:25発→戸塚7:30発→横浜7:43発→武蔵小杉7:55発→渋谷8:11発→新宿8:16着
(新宿8:30発→八王子9:07発→甲府10:14着・河口湖10:24着)

新宿駅で14分も停車する事になってしまいますが、河口湖方面へ直通できるメリットがあります。しかし併結相手がかいじ号なので甲府止まりな点が残念です。松本まで延長できればベストですが…。ちなみに横浜駅を15分後に出発しても横浜線経由で追いかければ間に合います。


●あずさ9号:大船8:06発→戸塚8:11発→横浜8:24発→武蔵小杉8:36発→渋谷8:51発→新宿8:56着
(新宿9:00発→八王子9:36発→甲府10:36発→松本11:39着)

5号と同じく大月駅に停車しない弱点はあります。横浜駅を4分後に横浜線経由で追いかけても間に合いますが、差は少ないので直通運転のメリットで補えるでしょう。大月駅を追加停車できれば利便性が向上する余地もあります。


はまかいじ号復活予想ダイヤ(横浜方面)

新宿止まりの中央本線特急を横浜行きに延長した場合のダイヤを予想してみました。ちなみに旧はまかいじ号の時代の停車駅と時刻を調べてみました。

上り: 松本15:21発→甲府16:42発→八王子17:55発→横浜18:41着
停車駅: 新横浜、町田、橋本、八王子、大月、勝沼ぶどう郷、塩山、山梨市、石和温泉、甲府、韮崎、小淵沢、茅野、上諏訪、下諏訪、岡谷、塩尻

●あずさ42号:(松本15:10発→甲府16:31発→八王子17:32発→新宿18:04着)
新宿以南設定不可

新宿以南で列車を差し込む余地が見つかりませんでした。ちなみに後続の44号に比べて停車駅が7駅も少ない(大月駅含む)ですが、所要時間はむしろ1分遅いという鈍足列車となっています。


●あずさ74号:(松本15:13発→甲府16:38発→八王子17:53発→新宿18:29着)
新宿以南設定不可

旧はまかいじ号のダイヤを概ね踏襲していると思われるダイヤですが、残念ながら新宿以南で列車を差し込む余地が見つかりませんでした。


●あずさ・富士回遊44号:(松本15:50発→甲府17:02発→八王子18:11発→新宿18:43着)
新宿18:53発→渋谷18:58発→武蔵小杉19:14発→横浜19:26発→戸塚19:39発→大船19:45着

富士回遊号と併結するので富士急線からも直通利用出来る非常に利便性の高い列車となります。八王子駅で横浜線に乗り換えると4分早く到達出来ますが、差は少ないので直通運転のメリットで補えるでしょう。今回のはまかいじ号復活予想ダイヤで最も利便性の高い理想的なダイヤとなりました。


おまけ

・はまかいじ号は1996年に運行を開始し、当初は甲府駅発着で運行されていました。その後1998年に松本駅まで延長されましたが、名称に変化は無く松本駅発着のかいじ系統という珍しい存在となりました。おそらく車両の表示機が幕式なので名称変更にコストがかかるという理由かと思われます。LED表示機が標準となった現在では「はまあずさ」と改称されていたかもしれません。ちなみに臨時列車ながらほぼ毎週末に運行されており、専用デザインのトレインマークが用意されていました。JR側もそれなりに期待していたのかもしれません。

・はまかいじ号は横浜駅を起点に往復する1往復が運行されていましたが、一時期は逆に松本駅を起点に往復する1往復も存在していました。こちらは松本~横浜間の運行から磯子駅への延長が行われ、更に鎌倉までの延長も行われるなど積極的な展開が行われていました。しかし利用者が振るわなかったのか一足先に廃止されてしまいました。

・はまかいじ号の使用車両は東神奈川~横浜間を京浜東北線を走行するので、ATCを搭載した車両の限定運用となっていました。横浜起点の列車は185系B編成のうち改造した3本が限定充当されていました。グリーン車込みの7両編成でしたが、後にグリーン車を除いた6両編成となりました。対して松本起点の列車は長野所属の183・189系のうち改造したN101編成が限定充当されていました。


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