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業務内容5 交通系ICカード

K社では改札業務も行っていたので、交通系ICカードに関する取り扱いを把握する必要がありました。新しいシステムの乗車券故に不慣れな旅客によるトラブルも時折ありました。革新的で利便性の高い交通系ICカードですが、場合によっては思わぬトラブルに遭う事も?
(2021年05月01日執筆)


革命をもたらした交通系ICカードの登場

従来は券売機で事前に切符を購入して電車を利用するのが一般的でした。その後プリペイドカード「パスネット」が登場して残額がある限りカードを改札機に通すだけで電車に乗り降り出来て非常に便利でした。その進化系として交通系ICカード「Suica」や、遅れて「PASMO」が登場して公共交通機関の利便性に革命をもたらしました。改札機にタッチするだけで通過可能で、定期券の乗り越し精算もチャージ残額内で改札機が自動で行います。更にオートチャージ機能を使えばICカードへのチャージも自動で行ってくれます。


交通系ICカードの種類

全国で発行されている交通系ICカードにはそれぞれ種類が存在して、取り扱いが異なる場合があります。今回はPASMOの場合で紹介します。

◆無記名PASMO
基本となるPASMOの種類でチャージ残高があれば誰でも簡単に利用できます。ただし盗難・紛失の場合には利用停止や再発行が出来ないので注意が必要です。個人的にはお勧めできません。

◆記名PASMO
購入時に氏名などの個人情報を登録すると券面に氏名が記載された記名PASMOとして発行できます。手持ちの無記名PASMOに個人情報を追加で登録すると記名PASMOに無料で書き換え可能です。ただし一度情報登録をすると無記名の状態に戻すことや、苗字を除く氏名の変更は出来ません。紛失時の再発行が可能ですので、通常は記名式にすることをお勧めします。なお記名人以外は利用出来ません。

◆小児用PASMO
小児運賃が適用になる利用者には小児運賃が引き落とされる小児用PASMOが発行可能です。購入時には生年月日が分かる身分証が必要で、K社では券売機で生年月日を入力した際に、小児運賃適用年齢であると判定すると自動的に警報が鳴って駅員が来ます。そこで身分証を提示すると券売機裏側の係員操作画面で発行許可ボタンを押すと購入が可能です。このため無記名の小児カードは存在しません。なお小児用PASMOは原則として1人1枚(小児用Suicaも含む)という制限があり、既に発行済みのデータが存在する場合は係員側に確認画面が表示されます。大抵は口頭で事情を聴いて発行許可ボタンを押しますが。

◆PASMO定期券
一部のバス事業者で発売されている持参人式定期券を除いて、定期券は記名式のみとなります。チャージ残額があれば乗り越し精算も自動で行ってくれるので大変便利です。なお既存の記名PASMOを所持している場合は定期券情報を追加してPASMO定期券に書き換えが出来ます。


知っておくと便利な情報

◆一部事業者が発行しているクレジットカードとリンクさせて、改札通過時に一定金額以下になると指定した金額を自動的にチャージするオートチャージ機能があります。後日クレカ会社から請求が届く仕組みで、クレカのポイントが貯まるので現金でチャージするよりお得で便利です。対応クレカは鉄道各社の公式サイトでご確認下さい。

◆改札通過時にチャージ残額が1000円以下の場合や定期券の有効期間が残り14日以内となった場合に、タッチ時の電子音パターンを変更してお知らせする機能があります。改札窓口で申告すると変更可能です。機能ONに設定した後で機能OFFに再度変更も可能です。

◆定期券の期限が切れている事に気づかずに利用して普通運賃を引き落とされてしまう事を防止するために、定期券の有効期間外ではチャージ残額から減額されないようにする機能があります。設定後も定期券の有効期間内であれば普通に乗車可能で、買い物など乗車以外では引き続きチャージ残額を利用可能です。

◆券面の定期券情報の印字が薄くて読み取り困難な場合は券面再印字を行う事が可能です。なおカードが汚れている場合や傷ついている場合で再印字の効果が見られない場合などはカードの交換も可能です。

◆期限が切れた定期券の情報は自動的には消えずに券面にも記載されたままです。この状態でPASMOを紛失した場合、再発行したカードの受け取りが定期券を発行した事業者の窓口に限られます。定期券の期限が切れた場合は早めに窓口で券面消去の手続きをお勧めします。


2種類ある再発行

◆障害再発行
何らかの理由でカードをかざしても全く反応が無く利用出来ない場合、新しいカードへ再発行を行う事が出来ます。駅窓口で手続きをした翌日以降に受け取りが可能です。

◆紛失再発行
記名PASMOなどを紛失した場合は窓口で手続きをして利用を停止することが出来ます。手続きをした翌日以降に窓口で手数料とデポジットを支払うと、手続き時点での残額と定期券情報を維持した状態で再発行が可能です。なお一度手続きを行うと取り消しは出来ません。ただし紛失したPASMOを発見した場合はデポジットが返却出来ますので捨てずに窓口へお持ちください。

※再発行の手続きはPASMOまたはSuica事業者の窓口で手続きが可能ですが、受け取りに関してはPASMO事業者に限られます。


厄介な一体型カード

一部の事業者ではクレカとセットになった一体型カードを発行しています。普通のクレカと同様に審査を受けて、クリアすると送付されてきます。この一体型カードが実に厄介な存在で、通常のカードに比べて制約が存在します。定期券の発行事業者が限られる他に、障害・紛失再発行が必要になった際には駅窓口の他に別途カード会社にも連絡が必要で、カード会社から新しいカードが届くのを待つ必要もあります。またE社では定期券購入の際に券売機にカードを挿入しても読み取りが出来ずに返却される事例も散見しました。紛失した時のリスクも単純に2倍となるので、余程持ち物を減らしたい人以外はお勧めしません。


その他

◆PASMO登場から間もない頃は使い方がよく分からず、切符同様に改札機に投入してしまう事例もありました。改札機を開けて確認するとICカードが反り返った状態で詰まっていました。切符を搬送するベルトが外れてしまうと業者を呼んで修理を依頼する事になるので、外れないように慎重に抜き取るのは面倒でした。

◆企業が外回りの社員に対して貸与しているのか管理番号が記載されたテプラを貼付した無記名PASMOを見かけました。交通費の管理などが楽なのでしょうね。うまい使い方だと感じました。無記名のカードなので問題ありません。

◆改札機などで読み取りが上手く出来ずにカードの入った財布を叩きつける人を稀に見かけますが、財布内のクレジットカードや免許証などにはICチップが入っているものがあります。その場合うまく読み取りが出来ないことがありますので、可能な限り他のカードから離した位置に入れて使用するか、個別にパスケースに入れて使用する事をお勧めします。

◆他社線との連絡改札口でうまくタッチ出来ずに最終下車駅でタッチすると、連絡改札口を通過せずに乗車した場合の運賃を差し引いてしまいます。本来より遠回りで高額な運賃が引き落とされてしまうので注意が必要です。


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