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業務内容4 MV案内

E社では有人窓口以外に旅客の操作で日本全国の指定席などが購入出来る指定席券売機(通称MV)を導入していて、不慣れな旅客に操作などを手助けする案内要員が配置されていました。操作補助と言っても日本全国の駅名や主要ルートを覚えたり、複雑な規則関係を理解する必要があります。
(2021年04月28日執筆)


そもそもMVとは

新幹線などの特急券は自由席であれば普通の券売機でも発売可能ですが、指定席となると座席数などを管理しているホストコンピュータに照会が必要です。そのため一般的な券売機では対応できず窓口での発売に限られていました。しかし近年は指定席などの発券にも対応した高性能な券売機が導入されるようになりました。この顧客操作型端末を端末機種名から取ってMV端末と呼称します。あくまで社内での呼称であって、旅客向けには「指定席券売機」や「みどりの券売機」などと案内しています。


具体的な業務内容

◆窓口待機列からの引き抜き
窓口に並んでいる旅客に声掛けをして、MV端末で対応可能な内容であれば列から引き抜いて券売機へ誘導します。窓口でしか対応できない内容の旅客を除いて積極的に券売機へ誘導する事で窓口待機列を短くするのが目的です。

◆操作補助
待機列から引き抜いた旅客は券売機の使い方など慣れていない場合が多いです。そこで旅客の横に立って操作方法をレクチャーします。旅客が慣れてもらえると次回以降は窓口ではなく券売機へ流れてくれて、結果的に窓口対応件数を減少させて窓口数削減などコストカットが可能となります。

◆その他
券売機のそばに駅員が立っていれば質問したくなるのが一般的な流れです。なので肝心のMV対応より一般的な質問の方が圧倒的に多いです。乗り換え路線や駅周辺の商業施設・観光スポットなど観光案内所並みの知識量が要求されます。


気苦労の多い面倒な業務

◆列からの引き抜きは最も緊張します。旅客が求めている内容と支払方法を聞き出して券売機で対応可能か判断します。最後尾ならともかく列途中から引き抜いた場合だと、再度列に並ぶ必要になった場合に旅客からクレームが発生する可能性があるためです。特にクレジットカードで支払い希望の旅客が暗証番号を覚えていない・間違えていたケースが多かったので、列引き抜き前に暗証番号を覚えているかは慎重に確認します。

◆自発的に券売機に来た旅客は問題ありませんが、引き抜いてきた場合は自分に責任が発生するので引き抜く旅客は選びます。高齢者は機械の操作に抵抗を感じて不満を訴えてくる場合が多いため積極的には声を掛けません。また暗証番号を覚えていなくてトラブルになるケースも高齢者が多いです。当時は窓口では暗証番号の入力が不要だった点も、券売機の利用が伸びなかった理由であったと感じます。その他にサラリーマンやガラが悪そうな旅客からは声を掛けられないように注意します。不真面目と受け取られるかもしれませんが、自身の身を守るためにはこれでも不十分なくらいです。

◆組織の犬のような助役の場合は監視カメラで仕事内容をチェックして「列が長いから積極的に声掛けするように」催促の電話が鳴る事もあります。こちらは無用なトラブルを起こしたくないので、待機列周辺を軽く歩きながら声を掛けている雰囲気を装うのは日常茶飯事です。


その他

◆待機列が長いなら窓口を増やすのが本来の解決策であると思うのですが、会社としてはむしろ窓口を減らしたいのです。窓口の操作端末は多様な業務が可能ですが、操作が複雑であることに加えて乗車券類の規則関係を把握していないと務まらない専門職のような状態です。そのため人材育成に時間とコストがかかるので、可能な限りMVを利用してもらって窓口利用客が減れば窓口自体を減らせるという企みです。券売機の台数を減らすためにICカードの普及をごり押ししているのと似たような理由です。

◆窓口の設置には人員配置に加えて端末設置や通信費など多額の固定費が発生します。そこで近年は自社サイトで予約・決済して登録したICカードで乗車可能とする仕組みが整備されつつあります。これによって窓口はもちろんのこと発券に必要な券売機すら削減できるのです。旅客にとっても列に並んだり券売機で切符を受け取る作業が不要になるのでメリットは大きいです。


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