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業務内容1 通勤対応

バイト駅員の業務内容で最も一般的なのが、ドアが閉まらない箇所ではみ出している乗客や手荷物を車内に押し込んでドアを閉める、俗に「押し屋」と呼ばれる業務です。ラッシュが始まる前に出勤して、ホームの安全確認と共に荷挟まりなどに対応する業務を1時間半~2時間続けてラッシュ終了と共に勤務も終了です。バイト駅員は押し屋業務のみという会社が大半を占めると思います。今回は具体的な仕事の流れを紹介したいと思います。
(2021年03月21日執筆)


列車入線時

列車入線時には点字ブロックを跨ぐ位置に立って入線する方向を向いて安全確認を行います。列車先頭部がホーム端に接近する手前で線路に異常が無いか視差歓呼で確認します。点字ブロックの外側を歩行している旅客が居た場合は、ホイッスルを鳴らして注意喚起をします。ホームがカーブで湾曲している場合は、運転士からの見通しが悪い事に加えて旅客も列車の接近に気づきにくいので特に注意を要します。万が一の事態に備えて列車非常停止装置のそばが立ち位置として指定される事が多いです。列車が自分の立ち位置を通過するまでは進入方向を監視して、通過後には向きを180°変えて進行方向を監視します。


列車停車中

停車後にドアが開扉すると車体側面にある車側灯の点灯を視差歓呼して確認します。降車終了後に乗車が始まると「車内中程へお詰め下さい」と呼びかける場合もあります。閉扉前には「お荷物お体引いて下さい」と注意喚起します。閉扉後に一部の車両の車側灯のみ点灯している時は、その車両のドアが閉まり切っていない状態という事になるので対処が必要です。大抵はカバンが挟まっている場合や旅客がはみ出している場合、車内側からの圧力でドアが動かなくなっている場合が多いです。


列車出発時

閉扉後には車側灯が完全に滅灯していることを視差歓呼します。この際に駆け込み乗車で再度扉を開けてもらおうとドアを叩く旅客が稀にいるので要注意です。列車が立ち位置を通過した際に後部標識灯が点灯している事を視差歓呼して、列車最後尾がホームを抜けた後に線路に異常が無いか視差歓呼で確認して一連の流れは終了です。


事業者による特色(K社)

●列車入線時には入線方向のみ、出発時には進行方向のみを注視して基本的に後方を振り向いたりはしませんでした。むしろよそ見するなと注意されるくらいです。これは前方の立哨者から自分までの範囲を責任範囲と考えて対応するためのようです。

●全員が赤色の旗(フライ旗)を持って閉扉時には絞った状態の旗を掲げます。前方の立哨者がフライ旗を揚げると、自分の責任範囲に異常が無いことを確認して自分もフライ旗を揚げます。複数人が立哨している場合は伝言ゲームのように前から順番にフライ旗が揚がって、最後方の立哨者がフライ旗を揚げたのを確認して車掌が閉扉を行います。なお夜間などには合図灯を用います。

●普段は絞った状態で使用するフライ旗ですが、荷挟まりで当該ドアのみ再開閉を要求する場合には旗を両手で広げて掲げると小開扉という合図になります。車側灯が滅灯して再開閉機能が使用できない場合には旗を大きく振って全開扉を要求します。せっかく閉まったドアをもう一度開ける事になるので列車遅れに繋がるリスクがあります。安全上やむを得ない場合に使用するのですが、勤務終了後に小言を言われる事も。


特徴的な業務内容(E社)

●K社とは真逆で後方の確認も忘れるなと指導されました。勤務時の所持品はホイッスルのみで閉扉時の合図などは行いません。車側灯が滅灯後に再開扉が必要な場合は列停押下して緊急停止させる必要があります。これは大抵の会社が戸閉め知らせ灯点灯後に車掌による合図を受けて発車するのに対して、E社では閉扉後に運転台で点灯する戸閉め知らせ灯の確認のみで発車するためです。

●駅や路線にもよるのでしょうが、E社で勤務していた駅では過激な駆け込み乗車を散見しました。閉まる寸前のドアに手を突っ込んでこじ開けるという強引な旅客も複数回目撃しました。過去には閉まったドアを腹いせに足で蹴る輩がいて最終的に警察に連行されました。


おまけ

●押し屋の特徴として仕事量が季節や天候に左右される事が挙げられます。新年度は電車通勤・通学に慣れてない旅客が一時的に増えるので、乗降にやや時間が掛かると感じました。また冬季は厚着している分だけ体積が増すので閉扉に時間が掛かる事が多いです。更に雨の日は傘にも要注意です。傘は細いので挟まってもドアの戸ばさみ検知が反応せず発車してしまうからです。そのため全開扉を要請するか列停を押下して緊急停止させます。

●駆け込み乗車で列車のドアを叩く旅客が稀にいます。状況によりますが基本的に列停押下して緊急停車させます。また傘を閉まる間際のドアに差し込む輩も居ます。ドアを開けてくれると思い込んでいるのでしょうが、エレベーターのドアとは違い基本的に自動では開きません。非常に危険なのでぜひ止めてほしいですね。


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